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目次

1. 概要
2. 分解
3. ゴムベルト交換
4. レンズクリーニング
5. あとがき
6. 参考にさせていただいたサイト・情報

1. 概要

10年ほど使用しているCD/MDコンポのSONY CMT-M100があります。
外付けのAMアンテナが使用でき、タイマーでMDの録音ができるため、夜中のDX(遠距離受信)を録音して、起きてからDXレポートを作るのに重宝していました。
しかし、ここ5〜6年はDXをせず、ただ毎日朝のニュースを聞く程度にしか使用していませんでした。
ふと、昨年の秋の夜長に、周波数ザッピングをしていると、茨城放送(JOYF)とおぼしき放送が入感しました。
まだDXレポートを作成していなかった局だったため、コールサインを聞き取って確実なDXレポートを作ろうと、ブランクのMDを引っ張り出して、MDスロットに押し込みました。
すると、「ヴィーーー」と変な音がするばかりで、MDを読み込みません。
「はて、もうちょっと押し込まないとローディング機構が動かなかったっけ」と、よせばいいのに、奥まで指先で押し込んでしまいました。
しかし、(当然と言うべきか、)MDは一向に読み込まれません。「ディスクが悪いのかな」と、取り出しボタンを押しますが、全くMDは出てきません。
ここで、ようやく、MDのローディング機構が故障していること、そして、MDの救出ができなくなったことに気がつき、血の気が引きました。

震える手で、型番を調べると、同じ機種の修理記事が見つかりました。少し気持ちが落ち着いて、MDのローディング機構について調べたところ、ゴムベルト1本交換すれば直りそうでした。
修理方法が見つかったことと、落ち着いたのをいいことに、しばらく放置していましたが、意を決して、半年以上経過した今年の6月になって、ゴムベルト交換の修理とレンズクリーニングを行いました。

2. 分解

まずは、同機種の修理記事を参考に、MDユニットを取り出します。
左右のパネルのネジ合計10ヶ所(2つは背面)を取り外します。外観が同じネジが側面の四隅にありますが、上2つは短いネジで、下2つが長いネジでした。
ネジを外し、背面から側面方向に、前面パネルに刺さっている部分を軸に軽く開くようにすると、前面パネルとの噛み合いが外れるので、そこで背面方向に引っ張るとパネルが外れます。
両方を外すと、上部のカセットデッキユニットが外れるようになります。側面のフレームにつながっているフレームグランドのクリップを外しておきます。

(上部のカセットデッキユニットから黒い線でつながれて、下部のシャーシに挟んであるクリップがフレームグランド)

パネルを外すのと同じ要領で、カセットデッキユニットの背面側に手をかけ、上に引くと、前面パネルとの噛み合いが外れるので、そっと前面パネルからカセットユニットを外します。
そのまま、右側(基板側)にゆっくり裏返すと、フレキシブルフラットケーブル(以下、FFC)がつながっているので、それを外し、カセットデッキユニットを完全に取り外します。

カセットデッキユニットを外すとMDユニットが現れます。MDユニットは四隅とフレームグランドがネジ止めされています。
これらを取り外すのですが、1ヶ所(前面パネル側からみて右奥)は、基板に接続されているFFCが邪魔でドライバーが入らないため、このFFCを外しておきます。

(外すFFC)

MDユニットには2本のFFCが接続されています。MDユニット側はテープで固定されているので、基板側から取り外します。
これでMDユニットが取り外せます。

(取り外したMDユニット 赤丸で囲んだ部分が磁気ヘッド)

MDは光磁気ディスクであり、ディスクの下の光ピックアップからレーザーを照射し、ディスクの上から磁気ヘッドで読み込み/書き込みを行っています。
そのため、MDユニットは、上部に磁気ヘッドがあります。簡単に触れることができる位置にありますが、これがズレると、せっかく修理しても、MDの読み込み/書き込みが行えなくなります(ユニット内にある光ピックアップも同様)。

3. ゴムベルト交換

MDユニットを取り外したら、MDを救出します。
ゴムベルトが切れていたり緩んでいたりして、プーリーが解放されていれば左奥の白いパーツか、天面左側の白い棒を、前面に向かって軽い力で押すと、MDが排出されます。

(赤丸で囲んだパーツを押す)

MDを排出したら、MDの挿入口からピンセットを慎重に入れて、中からゴムベルトを取り出します。切れてはいませんでしたが、ヨレヨレになっていました。

(左:ヨレヨレのゴムベルト 内径16-18mm程度 右:ゴムベルトを取り外したプーリー ゴムベルトの取り出し、装着はこの視野で行う)

ここで、Amazonで買っておいたゴムベルト詰め合わせから、大きさの合うゴムベルトを選んで、ゴムベルトをローディング機構のプーリーに装着します。
・・・あれ?
最も小さいものでも内径が30mmあります。一方、ヨレヨレになったゴムベルトはだいたい内径18-20mmくらい・・・
・・・
ゴムベルト詰め合わせはただの黒い輪ゴムになりました。(-"-
このまま分解したままにはできないので、とりあえず組み直します。

ゴムベルトのサイズがわかったので、ゴムベルトをサイズを指定して購入できるサイトを探しました。
千石電商で買えるようだったので、内径16mm 太さ0.95mmと、内径18mm 太さ1.2mmの2種類を注文しました。(ついでに、「ロジックICで作るVGA信号生成回路」用のVRAMユニット(設計中)に必要と思われるロジックICも購入しました。)
注文翌日にはポストに差し込まれていました。速い。

(左が内径18mm 太さ1.2mm 右が内径16mm 太さ0.95mm 下段はオリジナルのヨレヨレになったゴムベルト)

もう一度分解して、MDユニットを取り出します。
MDの挿入口から慎重にピンセットでゴムベルトを入れ、奥のプーリーに引っかけてから、手前のプーリー(動輪)にかけます。
内径18mm 太さ1.2mmでは、太すぎて装着できません。内径16mm 太さ0.95mmでは、長さはややキツいですが、太さはピッタリで、装着可能です。

(ゴムベルトを装着したプーリー)

MDユニットのネジを仮締めし、FFCとフレームグランドを装着し直して、動くかどうかテストします。
電源は入ったので、MDを挿入してみますが、ローディングされません。
16mmだとやはり短すぎて、動輪のトルクでは不足かな?と思い、いったんゴムベルトを取り外して、再度テストします。
しかし、MDを差し込んでも、故障当初のようなモーターの動く音が全くしません。電気系統に問題がありそう・・・
・・・まさか、FFCが折れたか?
おそるおそるMDユニットのFFCを見ると、明らかな折れはありませんでしたが、2本のうち、片方のFFCのコンタクトが2ピン、先端が捲れ上がっていました。
血の気が引きましたが、ピンセットで可能な限り直して、慎重にFFCを挿入し直しました。
祈るような気持ちで、再度テストすると、「ヴィーーー」と故障当初と同じ音が出ました。ホッとしながら、ゴムベルトを装着してテストすると、

MDがローディングされました!実に8ヶ月ぶりの動作。うれしい!

・・・しかし、ここで終わりませんでした。

4. レンズクリーニング

試しにラジオを録音してみました。
10秒ほど録音し、MDモードに切り替え、再生ボタンを押しますが、一向に再生されません。
いったん取り出して、もう一度入れると、「TOC Error C14」の表示が。どうやらTOCの書き込みか読み込みのいずれか、あるいは両方に問題が生じているようです。
All Erase(FDやHDDではクイックフォーマット相当)をして、ラジオを録音して再生しますが、一瞬音が出て数秒止まり、また一瞬音が出て数秒止まりの繰り返しで、10秒の録音を再生するのに、数分かかってしまう有様です。
何回か繰り返しましたが一向に改善の気配なし。

まさか、磁気ヘッドを壊した・・・?
と思いましたが、光メディアで、長年使っていなかったこともあり、まずはクリーニングをしてみることに。

AmazonでMDレンズクリーナーを探してみると、MD自体がほぼ終息した規格ということもあり販売されていません。
ヤフオクで見ても数千円するものばかり。とても買う気にはなりません。
そこで、ダメもとで、光ピックアップのレンズを直接クリーニングすることにしました。
再度分解し、カセットデッキユニットを取り外し、MDユニットが見える状態まで分解した時点で、光ピックアップが見えることを確認しました。
綿棒に消毒用エタノールをたっぷり染み込ませ、慎重に光ピックアップのレンズを拭きます。
レンズ全体を拭き終わったところで、綿棒の繊維がレンズ上に残っていないことを確認し、再度組み上げて、MDを挿入します。
All Eraseをして、ラジオを10秒ほど録音し、MDモードへ切り替え、再生。

一切の音飛びなくスムーズに再生されました!
MDを取り出して、再度挿入しても正常に読み込まれ、録音/再生とも正常に行われました。
磁気ヘッドが壊れてなくてよかった・・・

これで完全にMDが復活しました。修理完了です。

5. あとがき

修理にかかった費用
・ゴムベルト φ16mm 太さ0.95mm 163円
・送料 350円
計 513円
(綿棒と消毒用エタノール100mL 321円は消毒用に家にあったもの)

修理のために購入したが、使用しなかったものの費用
・ゴムベルト詰め合わせ 550円
・ゴムベルト φ18mm 太さ1.2mm 163円
計 713円

合計 1226円

MDコンポが販売されていない状況や、中古でも完動品の価格を考えれば、十分安くMDを復活させられました。
これでまたラジオを夜中に録音してDXレポートが書けるようになりそうです。

MDユニットのFFCのコンタクトが捲れ上がっているのが今後の懸念材料ですが、もし修理が必要になった場合は、27ピン以上の1mmピッチFFCの購入が必要そうです。

6. 参考にさせていただいたサイト・情報


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